実習生が配属されてから2年目くらいから増えてくるのが悩み事の相談。
ある程度、実習生も日本の生活にも慣れ、自分の職場での実習にも慣れ、他の職場の実習生達と比較して違いを認識すると、それが「悩み」に発展する可能性が出てきます。
そういった悩みは予め話しておくことで、ある程度、大きな悩みに発展はしません。
しかし、自分が何か違和感を感じていることは、他人が見ているだけでは非常に分かり辛く、長い月日とともに大きくなり、急に問題が発生します。
それは、企業にも実習生にも言えることで、企業から組合に相談されるケースもあれば、実習生から相談されるケースもあり、その相談事の内容も職場でのこと、自分自身の体調のこと、一緒に生活している実習生同志でのこと、家族のことと、多岐に渡りさまざまです。
私が経験した企業からよく持ちかけられる相談事や、実習生からよく受ける相談内容と、その解決方法について、今回はご紹介していきたいと思います!
実習生が抱える職場での悩み事
実習生からの相談で一番多い職場での悩み事は、残業についてです!
選考面接の時も、現地での応募要項にも、「残業は月に0~10時間」と記載しているにも関わらす、配属して2年目くらいには忘れてしまったのか、「残業が毎月8時間くらいしかないです、他の部署は10時間あるのに、私のところは6~8時間くらいしかない」と言ってきたり、他の残業が多い部署に変えてほしいなど、他人の方が少しでも待遇がよければ、なぜ自分は、そうじゃないのか?悩んだ挙句、他の部署を希望する実習生がいます。
しかし工場での生産量は全ての部署で一定ではありません、その月々や部署によって変動します。予め説明していても、初めて聞いたような反応を示す人もいます。
もし本人が不当な扱いを受けているかもしれないと母国語等で他人に相談したい場合は、厚生労働省のホームページより技能実習生向けの相談窓口もあります。
次によくある相談は、職場の人たちは、早口の方言で話たり、仕事の指示をしたりするので、実習生は、その言葉が理解できず、企業から「実習生が全く言うことを聞かない!」「何度注意して怒っても直らない!」とクレームが来て、実習生に聞いてみると、「何で怒っているか分からない。怖い」等という内容の悩み相談も多いです。
これらを踏まえて事前にしておくべき対処法とは?
・残業時間については部署や月によって変動することを書面で記載し、承諾の上、サインさせる。忘れないように、部屋に貼る。
・企業の現場の人達に分かりやすい言葉で話してもらう(方言は避ける)
・他の実習生との間で給料明細を見せ合わないよう指導する。
・普段から実習生とよくコミュニケーションをとり話しやすい環境を作る。
企業からみた実習生の気になること
先程は実習生から見た企業や職場についての悩みや相談事を書いてみました。今度は逆に企業から見た実習生についての気になる点や悩みが、どういった内容が多いのか、どのように解決すればよいかをご紹介していきます!
実習生のほとんどは、悩みや相談事があっても直接職場の人に言う人は非常に少ないです。
ある程度まで我慢して、どうしても疑問に思うことは、だいたい組合に相談してきます。ですので企業の職場の方からしてみれば、仕事は慣れたのか、何か困っていることはないのか、生活で不便に思っていることはないのか、わからないことはないのか等、質問しても「はい、わかりました」「大丈夫」と、そんな返事ばかりなので、実際にどれくらい、理解しているのか、本当に大丈夫なのか、彼らから細かい情報がほとんどないので、不安で心配する企業が多いです。
私が実際に担当していて、企業と実習生の関係がいい企業が実施されている方法をご紹介しますと、生活指導員が定期的に彼らの寮にいき、生活状況を確認して、彼らと会話し、普段の生活で困っていることがないか、確認し、職場では技能実習指導員が彼らの実習の進捗状況を把握する為にも、日本語での理解度テストをしてみる等、教えっぱなしの一方通行にならない環境を作っていることです。質問やテストをしてみて、行き詰ったり、間違えて答えてしまうと、分かっていないことがわかります。実習生の多くは、理解できている・できていないに関わらす、とりあえず返事しないといけないと考えてしまうようで、「はい、わかりました!」と、答える人が圧倒的に多いです。私はそのことを分かっているので、YES,NOで、答えらる質問はせず、HOW,WHAT,を使う質問を心掛けています。
また、企業から「おすすめの翻訳機はありますか?」という質問も通訳さんがいない企業から多いので、参考までにご紹介しておきますね。
■AI翻訳機「Perico ペリコ」
38言語対応(カンボジアのクメール語、ミャンマーのビルマ語は不可)
wifiルーター機能もあるので、海外出張に便利(下記参考リンク)
多言語対応の音声AI翻訳機「Perico(ペリコ)」公式サイト■ポケトーク
これは有名ですね。カンボジアのクメール語や、ミャンマーのビルマ語にも対応しています。74言語対応。(下記参考リンク)
ポケトーク公式サイトまた、仕事以外でも週末にどこか一緒に出掛けたり、定期的にイベントを実施して実習生との距離を近づける努力をされておられます。そうすることによって、相談しやすい環境をつくることがお互いにとって良いかと思います。
まとめ
最初に色々と実習生に指導をしていても、2年目以降からは、バレなければ大丈夫と思いがちな実習生が多いので、普段から出勤時や退勤時も確認が必要です。
入国した年は、何事にも注意して気を引き締めて慎重に行動している実習生でも、慣れてくると、悪いこと・やってはいけないことと、分かっていても今回だけと、その今回が普通になって行き、トラブルが起きれば悩み事も出てきます。
そのためにも、普段から職場の事や生活のことを細かく質問して、困っていることや不安なことや心配事はないか?等の状況を把握しておくことで、早く悩みを解決してあげれることもあります。そして企業と実習生との間でトラブルがあれば、直ぐに組合に相談し解決策を見つけることで不安なく実習生を受け入れられるでしょう。
職場でも実習生に話しかけてあげてください!と、私はよく企業にお願いしています。そうすることによって、実習生の日本語能力もアップしますし、いい人間関係を築いていくと、悪戯が働かなくなるからです。日本人でも同様に人間関係がひどいと、いくらお給料がいい会社でも辞めたいと逃げ出したくなる気持ちが彼らにもあるということです。