今回は技能実習3号の移行についての手続きや条件、3号の給与の目安や移行対象職種について詳しく解説していきたいと思います。この3号技能実習生という資格は2017年10月から外国人技能実習法により施行された最近の資格になります。
それまでは外国人の技能実習は3年間が上限の滞在期間でしたが、条件さえクリアできれば、あと2年延長して滞在し技能実習を続けることが可能になりました。私の担当の企業も技能実習2年目に入ると、あと1年で技能実習も終わりなので、せっかく覚えた仕事や日本語なのに3年帰られては勿体ないと、3号に移行するところが半分以上です。ただ、技能実習生本人の意思が一番大切なので、本人の意思を尊重したうえで、技能実習生とも面談して3年で母国に帰るか、また日本に来て働きたいか、何度も相談しながら企業の意向と実習生の意向のすり合わせが大切なところです。
技能実習生3号移行に必要な条件や手続きとは?
技能実習3号移行するには条件があります。その条件をクリアした上で技能実習機構へ申請て続きができ、許可が下りれば3号移行が可能となります。では、その条件について詳しく説明していきます。現状通りの企業・実習生・組合で3号移行するには、それぞれの条件を満たさなければ、現状通りの企業・実習生・組合のメンバーで5年目、6年目には進めません。それぞれの条件を下記にて記載しています。
随時3級(2号時に受験する技能検定試験)の試験に合格する。※実技試験のみ受験でOK。筆記は任意。
3号移行希望者であること。
2号終了後、1か月以上、母国に帰国すること。
優良な実習実施者(企業)の要件を満たしていること。
優良な監理団体(一般監理団体)の要件を満たしていること。
まず、実習生に関しては、2号の2年目以降に受験する随時3級試験に合格しないと、3号移行はできません。1度目の試験で不合格だとしても在留期間内なら1度のみ追試受験は可能。対象受験科目は実技のみ。随時3級実技試験の内容については、下記で公開しております。
実習生が合格すれば、一旦帰国して同じ職種であれば、別の企業でも3号として実習は可能です。
企業については「優良な実習実施者」と記載していますが、現行の実習生を3号に移行させたい場合、優良な実習実施者の要件を満たす必要があります。要件については、下記の技能実習機構HPの参考リンクをご覧ください。
「優良」を取るポイントとしては、2つあります。
1.随時3級の受験者の合格率を上げる!
2.④の法令違反・問題の発生状況の箇所に該当しないこと!
上記の「優良な実習実施者の要件」のリンクに基づいて、1と2について簡単に説明していきます!
1.基礎級や随時3級の合格率の配点が高いので、3号移行希望者はもちろん、3号移行希望者でない実習生も合格させることで配点が上がる!
例)10人受験の場合(随時3級)
8人合格すれば、Ⅱを選択すると80%以上なので40点の配点になりますが、7人の場合は30点の配点になるので、この場合、Ⅱ-2(1)を選択することにより、35点の配点がもらえることになります。なので、2020年10月までは、どちらか有利な方を選びましょう!
※この上記の表のⅡの*「施行後3年間」とは2020年10月までをさします。(技能実習新法施行が2017年10月)
2.④の法令違反・問題の発生状況、ここは改善命令や失踪者がいなければ問題はないのですが、改善命令を受けたことがある企業や失踪者を多数出した企業は、まずここで失点が高いため、「優良な実習実施者」になるには厳しくなります。
それ以外は、どこでプラスの配点を稼ぐかを考え、企業に生活指導員の講習や技能実習指導員の講習を受けてもらい、②や⑥では満点とれるように、実習生を日本の文化に触れさせるために、お寺や神社に連れて行ったり、地域の盆踊りや清掃活動に参加するのもいいでしょう。日本語の勉強については、月に1回でも日本語の勉強会を実施すれば問題はないでしょう。
優良な監理団体の条件とは…こちらも上記のリンクに要件が記載されています。この要件を満たした監理団体(組合)は、一般監理団体として認定され、実習生の3号まで監理することができます。なお、優良申請をしていない、それ以外の監理団体は特定監理団体になり、実習生の2号まで監理することができます。
Q:実習生も随時3級試験に合格し、企業も優良認定をとれたけど、今の監理団体が特定監理団体の場合は?
A:この場合は、今の監理団体に再度、一般監理団体に申請してもらうか、一般監理団体に実習生の監理をお願いするかのどちらかになります。技能実習機構に相談すれば一般監理団体を紹介してもらえます。
Q:実習生は随時3級試験に合格したが、企業が優良認定をとれなかった場合は?
A:後輩がいる企業は次の年の申請時に優良認定の申請ができるので、その時に取れたら合格して母国に帰国した先輩実習生を3号で受け入れることは可能です。実習生は合格している時点で同じ職種であれば、企業を選択できる権利があるので3号から別の企業で実習することも可能です。
Q:2号終了後1か月以上の母国帰国が条件ですが、帰国費用は誰が負担するのでしょうか?
A:監理団体と企業との話し合いになります。ごちらかが負担する決まりはないです。監理団体との契約書等に、どちらが負担するか記載されているか確認し、記載がなければ相談した上で決定します。実習生負担にはならないように、注意してください。
技能実習3号移行へ効率よく進める手続き方法
では実際に上記の通り、3号移行の条件が分かったところで何から始めればよいか、ご説明いたします。
まず、今、実習生を監理してくれている監理団体は一般監理団体か、特定監理団体かを確認します。特定監理団体であれば一般監理団体の申請をされるかリサーチしておき、一般監理団体の申請をしないのであれば、一般監理団体を探しておく必要があります。
それと並行して、優良な実習実施者の要件を満たせるよう、生活指導員講習や技能実習指導員の講習を早めに予約しておきましょう。定員の枠が狭いのですぐに満席になってしまいます。
随時3級試験の日程を早めに組合に相談しておきましょう。(2号になって1~2か月後くらい)その後、組合が試験を申し込むので、調整をしながら余裕をみて帰国の6か月前には1回目の受験をしましょう。追試が翌月実施のパターンが多いので、追試の結果はそのまた1か月後と考えると、早めの受験が理想です。この試験結果が揃うまでに、企業は優良な実習実施者の要件を満たしておく必要があります。(随時3級の合格者の配点箇所以外)
試験結果が出揃ったところで、組合で認定申請の書類を作成します。(約1か月みておきましょう)その認定申請書類ができたら、企業に確認してもらい、技能実習機構へ3号の認定申請の手続きをし、2~3か月後に許可がおりて、入国管理局に在留申請をします。約1~2か月後、在留許可が下りたら技能実習3号の資格が取得できます。ただし、実習生はその間1か月以上の帰国が条件になります。
万が一、帰国している間に何らかの事情で3号として企業に行くことを断った場合、実習生の意思が優先されるので、企業としては強制して受け入れることはできません。
技能実習生3号給与の目安や移行できる対象職種は?
技能実習生3号の給与の目安はいくらくらい?
この質問を企業からよく受けるので技能実習機構へ聞いたりすることがありますが、その企業に2号、1号となる後輩実習生がいるかどうかにもよります。
例)1号実習生 時給 850円、2号実習生 870円、3号実習生 935円
これは1号、2号がいる場合(1号実習生の1割増し)
特に決まった割合ではないのですが、「日本人の新卒3年目と同等のお給料を時給で換算した金額」が3号実習生の給与の目安になります。
仮に3号になろうとする実習生の後輩がいない場合、現状の時給の1割増し以上は支給しておくべきでしょう。(都道府県の最低賃金の場合)
例)現状800円(都道府県の最低賃金)→3号 880円以上
また、実習生のスキルによってはボーナスで差をつけると、モチベーション向上にもつながります。
技能実習3号に移行できる対象職種は?
上記が技能実習生で受け入れ可能の職種になりますが、オレンジ色の色掛けの職種については、3号移行の対象職種に該当しません。(2019年5月時点)
参考リンク:技能実習機構HPより→技能実習3号移行対象職種・作業一覧
見えづらいので、3号移行できない職種を下記に記載しておきます。
3号移行できない職種
築炉 農産物漬物製造 医療・福祉施設給食製造 紡績運転 織布運転
カーペット製造 リネンサプライ 航空グランドハンドリング(客室清掃)
今後、変更がありましたら都度、更新する予定です。
今回は、技能実習3号移行に関する条件や手続き方法、3号の給与の目安、3号移行の対象職種について、まとめてみました。
また何か新しい情報がありましたら、随時更新していきます。
最後まで記事を見ていただいて、ありがとうございました。この記事が何かお役に立てればうれしいです(^_-)-☆